平成27年8月1日、宮崎市郡医師会病院研修棟1階 看護等研修室において開催された平成27年度看護師スキルアップ研修「救急看護」に参加した。

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 今回の研修は、宮崎・東諸県郡の救急医療の現状を知るとともに、救急医療の病態を理解し救急看護領域の知識を習得することと救急の各場面に応じた的確な判断能力を養うための知識を習得することを目的としていた。

 はじめに宮崎市消防局警防課救急救助企画室主査の南崎光史郎先生が宮崎市消防局管内の救急医療の現状について講演された。

 宮崎・東諸県郡には、救急車は常時稼動しているものが10台と予備で2台(全て高規格救急車)あり、1市2町の救急消防業務を実施している。救急救命士は75名おり、自然災害や火災活動、救急救助活動に尽力されている。平成26年中は出動件数が15、483件(前年比+286)と増加していた。事故種別で比較すると急病が9、456件で全体の61.6%であった。搬送人員を年齢区分別にみると65歳以上の高齢者が7、436人で全体の55%と高く、高齢化の進展により今後も高齢者の救急要請が増加すると予想される。搬送患者を程度別に比較すると入院加療を必要としない軽症は全体の32.6%、不搬送件数は2、078件で若干減少し理由としては「緊急性なし」「本人拒否」の2つで約69%を占めた。貴重な救急車であり、より緊急性の高い対象に有効に活かすべきものなので緊急性や重症度の判定が難しいが、その見極めは大切だと感じた。

 現在、救急車が現場に到着するまでの所要時間は9.3分といわれている。救急車が到着するまでの貴重な時間、倒れた人を一般の方にも協力していただき救命のリレーが実施されることが望ましく、一時救命処置・応急手当の指導も行われている。限りある救命の資源に加え、市民を巻き込んだ活動が必要だと思った。

 認定救急救命士の行える処置は、気管内挿管・薬物投与に加え更に拡大している。また、メディカルコントロールの体制の構築・確保も今後の課題である。医師に直接連絡をとり少しでも早い指示が受けられる、救急救命士が高度な救急処置を行った後の医師が専門的見地から検証する、救急救命士が更に高度な救急処置を行うための教育を実施する、という3つ体制づくりが今後の課題とされている。これからの救急は尊い命を救うため、一般市民等による早期除細動と応急手当、救命士による救命処置の実施、防災ヘリやドクターヘリ・ドクターカーとの連携など更に活動の場を拡大していくと話された。

 次に、救急患者の病態について潤和会記念病院集中治療部の濱川俊朗先生が講演された。

 病気とは、身体の環境に、内的または外的作用が働き異変が起こることであり、病態は病気特有の身体の反応である。病態を理解するには、正常を理解することが大事で解剖・生理学の理解が必要である。人は、さまざまな化学反応により恒常性を維持しており、呼吸・循環・代謝を厳かにしてはいけない。

救急患者を診たとき、主訴+αから可能性のある病気を推測できる。そして、病気は、解剖・生理学的に理解し、例外が必ずあることを念頭におく、最悪の可能性を最初に考える、年齢や性別などその発生頻度順に考える、「なんか変」という感覚を大事にする、という5つの鉄則から対象を診ていく。また、患者の訴えを聞き、的確に主訴を把握することが必要だと話された。私も入所される方のお話をしっかり聴き、早期に的確な対応ができるような準備を常に心がけたいと思った。

症状をもとに病気を推定するとして、痛み、発熱、吐き気・嘔吐、呼吸困難、血圧、意識障害について具体的事例をもとに解剖・生理、先生の幅広い経験からの病態に伴う検査データ・モニターに現れる傾向、それぞれの症状を引き起こす病気のなかでもとくに注意すべき重症疾患などについて話されとても参考になった。

最後に、高カロリー輸液を例えに、「普段、人は長時間にわたり食べ物を摂取する事はないし、管という異物を体に入れているわけで自然に逆らった状態。過ぎたことを行えば帰って状態を悪化させることにもなりかねない。患者が自分で治ろうとする力を支える治療が大切であり、それを邪魔しないことが大切だ」と話され共感した。

 午後からトリアージスキルを高めるというテーマで宮崎市郡医師会病院救急看護認定看護師の鵜野和代先生が講演された。

 平成24年度の診療報酬改定に伴い、条件付きで院内トリアージを実施した場合の評価が新設されている。トリアージといっても災害のときのものではなく、院内トリアージであり患者さんの来院後、速やかに状態を評価し、緊急度区分に応じ診療の優先順位付けを行うことを意味していた。その判定の支援ツールとして緊急度判定システムJTAS(japan triage acuity scale)が活用されている。トリアージを行うことで、①適切な治療を受けるまでの優先的配慮を保証できる、②緊急度に応じた必要な医療資源が予測できる、③患者が安全に待つことが出来る時間を予測できる、④適切な診療場所と効果的・能率的な医療資源の利用が促進できる、⑤患者との意思疎通が改善でき、一般市民の理解が得られる、⑥サーベイランスを促進できる、という効果が得られる。トリアージは、まず一次評価(迅速評価)することから始まる。最初に出会って数秒で外見全体を視覚と聴覚を使いアセスメントする。そして「呼吸」「循環」「外観・意識」の視点で評価しそれぞれの異常の有無を評価していく。一次評価は、血圧計やSpo2などのモニターと、触診・聴診ですばやく行う心肺と神経機能の評価であり、これは今私の置かれている環境でも可能だとおもった。また、利用者様の日常の観察からその方の正常値を知ることで、更に急を要するかの判断に活かせるので日頃の観察・状態の把握が大切だと思った。

実際の症例をもとに具体的なアセスメントや他の評価ツールの活用方法を共に学ばせていただいた。使い慣れない評価ツールであり理解が難しかったが、個々で緊急性の評価が違わないよう標準化できる良いツールであると思った。

 講演のなかで先生は、トリアージは診断するためのものではなく、緊急性を捉えて医師に繋ぐことを目的としていると話された。在宅においても、何かおかしいという気づきとその気づきを医師に伝え早期対処が可能となるよう行動することは院内外を問わず、看護師の大切な役割であると再認識した。

 今回の研修では、救急の現状と異常に気づき早期に対応できるための基本的姿勢・知識を学ぶことが出来た。日頃関わる対象は状態の安定した方が多いのでこのような研修に参加し、観察する力を高めていきたいと思う。

 お忙しい中、研修に参加させていただいたことに感謝します。

ショートステイ 看護師 坂本